<ラジカル窒化法>
「ラジカル窒化法」は、住友金属鉱山(株)中央研究所によるプラズマ窒化の新しい反応理論と日本 電子工業の長年のプラズマ熱処理技術の経験を基礎とし、両社の共同により開発された新しいプラズマ 窒化法です。
 
<原理および装置の概要>
従来のプラズマ窒化法は、窒素と水素の混合ガスの直流グロー放電によって高いエネルギー状態の プラズマを発生させます。ここで得られる窒素分子などのイオンが処理物を加熱昇温すると同時に表面 を活性化します。そしてプラズマ中に形成されたラジカルが窒化反応を引き起こします。
しかし、ラジカル窒化法ではアンモニアと水素の混合ガスのグロー放電を精密に制御するこによって、 イオン密度が小さく低いエネルギー状態のプラズマを発生させながらも高活性なラジカル(活性種)を 有効に生成させ、窒化処理を行います。ラジカル窒化法では、処理物の昇温加熱には放電ではなく外熱炉 を用います。
 



 図1は、ラジカル窒化装置の概略を示します。装置は(1)真空容器、(2)真空排気装置、(3)ガス 制御装置、(4)プラズマ電源、(5)外部加熱装置、(6)冷却装置から構成されています。ラジカル 窒化処理は、真空容器を排気後、外部加熱装置により(7)処理物を加熱昇温します。その後、アンモニ アと水素の混合ガスを(8)マスフローコントローラーで流量制御し、真空容器内に導入します。処理圧 力は(9)自動圧力制御弁にて所定の値に制御されます。適正な直流電圧の処理部材への印加によって、 ラジカル窒化に好ましいプラズマ状態が形成され、窒化処理が行われます。処理後、処理物は冷却装置に よって冷却します。
  


<特  長>

(1)

処理条件を精度良く制御でき、化合物層の有無の選択、窒化深さの調節が簡単にできます。

(2)

部材の表面粗さは殆ど変化せず、ハイス鋼やダイス鋼では鏡面状態を維持することが可能です。

(3)

窒化後の表面に直接イオンプレーティング法などによってTiN膜などの硬質膜を成膜することが出 来ます。

(4)

エッジ部の形状変化が極めて小さな処理が可能です。

(5)

形状や重量の異なる処理物を混載処理することが可能で、従来のプラズマ窒化法に比べ充填率を高く することが出来ます。

(6)

真空中での処理のため、処理後の表面は無酸化状態で得られます。

(7)

ガス消費量が極めて少なく、ランニングコストの低減化がはかれます。

(8)

作業環境は極めて良好です。