■ 動作説明

 <アーク放電>

 アーク放電は、薄膜形成に用いられる反応性マグネトロンスパッタリングで発生しやすい。特にSiO2 ,Al2O3,TiO2等の反応性スパッタリングやITOスパッタリングにおいては、ターゲットの非エロージョン部分表面に反応により生成した絶縁物が堆積する。成膜中にこの絶縁物に電荷が蓄積し、その量が限度を超えると絶縁破壊が生じアーク放電が発生する。また、スパッタリング以外のグロー放電を利用するプラズマ処理においては、陰極となる処理物表面に洗浄不足等により残存する油脂汚れ・付着物等のガス化に起因する多量の局部的なイオン発生によってアーク放電が発生する。
 ア−ク放電は電力密度や放電電圧を高めると発生しやすくなり、発生の頻度およびアーク放電のエネルギー量は電力密度または放電電圧に対し相乗して増大する。アーク放電の発生では、局部的な陰極上でのイオン生成を促し,低い放電電圧下でも大きな放電電流が流れる。発生したアーク放電は、一度放電を遮断しない限り持続し続け正常なグロー放電に戻すことはできない。弊社DCプラズマドライブでは、4つのアーク放電検出法と3種類の放電遮断法を用いてアーク放電の高速遮断を可能にしている。


 

写真1


写真2

写真 アーク発生時の放電電流波形


 写真1,2は、アーク放電発生時の放電電流波形で、正常な放電電流(パルス波形)がアーク放電に移行した瞬間を示している。画面上段の波形は、アーク放電の発生を検出して放電を遮断するための遮断信号(トリガー)を示している。写真2は、写真1の拡大写真でアーク放電に移行してから約2μsecで放電電流を遮断していることが分かる。アーク放電は、遮断しなければその成長角度で遮断されるまで成長し続け、数μsecで数倍に成長することが知られている。
 DCプラズマドライブでは、写真でもわかるようにア−ク放電発生後数10nsec以内にア−ク放電を検出し遮断している。アーク放電が増大する前に遮断することにより、短時間の放電 停止後に再び元の安定した放電状態を回復することができる。ここで、遮断信号(トリガー)の 発生からアーク遮断までに1.5−2μsec遅れを生じているのはトランジスタのタ−ンオフ時間(トランジスタのオフ時間)に起因するものである。今後より高速な制御素子が開発される事により、さらに高速なア−ク遮断機能の実現が期待できる。